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いつも鋳造をお願いしている職人さんに、ジュエリーの限界と言わしめたクラニネックレスは、ほんとうに大きくて作ったぼくもびっくりしています。 と同時に、ぼくの挑戦を真っ向から受け、それに見事こたえてくれた職人さんには、深く感謝もしました。
あまりの大きさゆえに仕上げるのもひと苦労です。 鋳造した後ほとんど一皮むくように整えるのですが、仕上げるぼくの感覚ひとつで、同じ型から生まれたクラニ達がそれぞれに個性を発揮してくれるのはおもしろいなあと思います。
またこの作品は、下顎をモチーフにした516ネックレスと合体させることもできます。 いつかぴったり合う上顎も作ってあげたいと思っていたのですが、クラニの完成でそれがついに実現しました。
作品名はラテン語の頭蓋骨や脳みそを意味する言葉からつけました。
身につけたときに正面を向く脳天の部分は鏡面状に仕上げています。 人間の頭蓋骨にはこの部分に骨の合わせ目があるのですが、クラニではつるりと磨きあげる選択をしたのです。 リアルに作ることが目的ではなく、ぼくの作品を仕上げることが到達点なのですから。 だからリアリティは大切だけれど、リアルである必要はないのです。
どうすれば、ぼくの表現になるのか。 何が必要でどこが不要なのか。 ひとつの作品を完成させるには、こうした無数の選択と向き合わなければなりません。
毎日もまた、さまざまな選択の連続です。 瞬間ごとの選択が連なり積み重なり、やがて人生という大きな流れが生みだされます。 生きることは選びとることです。 選んだその結果に責任を持つことです。 無責任な選択からは、無責任な結果しか得られません。
だからこそ、どんなに小さな選択にも、自覚をもってほしいと思うのです。 選びとる自由と勇気。 それを支える智恵の在り方を忘れないでほしいのです。 大きなクラニの佇まいは、選択することの勇気とその責任を、そっと問いかけるようでもあります。
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